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魚卵・稚仔魚

 魚の卵は、水に浮く卵「浮性卵」と沈む卵「沈性卵」の大きく二つに分けられます。沈性卵に比べると浮性卵を産む魚の種類の方が圧倒的に多く、タイやヒラメ、イワシの仲間の卵は、海中をバラバラになって漂う「分離浮性卵」で、アンコウの仲間などは塊になって海中を漂う「凝集浮性卵」です。外洋を中心に生息する魚のほとんどが浮性卵です。沈性卵には粘着力がまったくない卵と、卵の周りに粘着層があって互いにくっついたり基物に付着したりする卵があります。前者ではゴンズイやサケ・マスの仲間で、後者は粘着沈性卵と呼ばれ、ニシンやハタハタ、チョウザメや、コイ、フナ、ウグイなどコイ科のほとんどの魚が該当します。サンマやサヨリ、メダカなどの卵は物に付くための付着糸という特殊な構造を持っています。

 仔魚、稚魚の発生量の把握は魚類の資源量推定に欠くことができない情報です。温排水が魚類等に及ぼす影響を評価する環境アセスメントでは、重要な調査項目です。

 試料はマル稚ネット、ノルパックネット、MTDネットなどを用い採集します。同定、計数は顕微鏡下で行いますが、魚卵は卵の外部形態だけで種が判明することは少ないため、当社では採取された魚卵を屋内で飼育し、発生状況やふ化仔魚・稚魚の形態を観察するふ化実験により種の同定を行っています。