株式会社日本海洋生物研究所

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技術情報

対象海域の再現に適した生態系モデルを用いた予測・評価を提供します

日本の沿岸域では、度重なる開発事業や港湾整備等により既存環境の変化や消失が生じ、生態系サービスが著しく低下しています。このため、沿岸生態系の保全や修復は必要不可欠であり、その効果を予め検討する手法として生態系モデルの利用があります。当社では、目的に応じた適切なモデルを設計するための調査立案、実施、解析およびモデルで計算された予測結果の評価まで、一貫したサービスを提供します。

地域にとって重要な水産資源の回復に向けた資源動態の把握に貢献します

日本の漁業生産量は減少の一途をたどっています。埋め立て等による干潟・浅場、藻場の消失や気候変動に伴う海水温の上昇のほか、海域の貧栄養化、水産資源と漁業活動との相互関係など様々な要因が指摘されています。水産資源の回復に向けては、その動態を把握する必要があります。当社では、対象海域の特性に応じて、漁業実態を把握し、水産資源の生活史段階ごとの分布量およびそれらの餌料生物との関係を詳細に把握するため、現地調査から解析にいたるまでのサービスを提供します。

海草・海藻藻場のブルーカーボンを通じカーボンニュートラルに貢献します

海洋生態系によって吸収・貯留される炭素はブルーカーボンと呼ばれ、陸域生態系により吸収・貯留される炭素とともに重要です。特に海洋生態系の一つである海草・海藻藻場は、炭素の吸収・貯留量の多い環境として注目を集めています。四方を海に囲まれた日本において2050年までにカーボンニュートラルを達成するためには、海草・海藻藻場における炭素の吸収・貯留量を明らかにするとともに、その保全・再生・創出に取り組む必要があります。当社は海草・海藻藻場における炭素吸収・貯留量の推定や保全等に資するデータを提供します。

生物多様性の「今」を調べ、ネイチャーポジティブ推進に貢献します

我々は豊かな自然から生態系サービスと呼ばれる多くの恵みを享受しています。生態系サービスが劣化する傾向にある中、持続可能な社会を形成するためには、ブルーカーボン生態系の活用といった気候変動対策とともにBNGなどのネイチャーポジティブの取り組みが求められます。これらは同時に推進することが可能です。例えば、藻場や浅場の造成は海洋生態系による炭素吸収・貯留量の増加という気候変動対策であるとともに、生物の生息環境創出という生物多様性の増加に貢献するものです。このような取り組みを実施するためには、生物多様性の「今」を知ることが不可欠です。
当社は豊富な経験と実績に基づいた調査計画立案、確実な現地調査、形態と環境DNAを用いた生物相の解明を通じて、生物多様性の現状を精度よく把握し、ネイチャーポジティブ推進に資する情報を提供します。

対象種の形態や生態を踏まえたDNA分析から正確に生物種を把握します

当社は生物の形態や生態情報から正確に種類を把握する技術を蓄積してきました。近年、解析機器の発達や研究により、DNA配列から種を特定する技術が急速に進んでいます。これらの技術を組み合わせることにより、これまで種同定が困難であった生物の胃内容物などの分析精度を高めることが可能です。当社では、これまで培ってきた生物の知識を基に適切な調査計画、分析方法を提案し、正確に生物種を把握します。

バラスト水管理システム試運転試験におけるサンプリング・分析

船舶に搭載する海水(バラスト水)中には様々な生物が混在します。これらの生物が本来生息していない水域で排出され、増殖することで、水域環境に悪影響を与える可能性があります。このため国際海事機関(IMO)は2017年にバラスト水管理条約を発効しました。当社は、(一財)日本海事協会による事業所承認のほか、国内外の試験機関で構成されるGlobal TestNetの正規会員として、バラスト水管理システムの試運転にかかる試験や評価を行うことで、生態系や生物多様性への影響の軽減、回避に貢献します。

深海における適切な環境保全のための環境影響評価に貢献します

日本近海の深海底にはメタンハイドレートや海底熱水鉱床などの資源が眠っています。沖合域では海底下CCSや洋上風力発電の展開も議論されています。こうした深海や沖合における開発は、未来の持続可能な発展の鍵を握るものであり、同時に環境影響を最小化することも課題となります。この課題に対して、当社は専門知識と技術を駆使し、適切な環境保全のための環境影響評価に資するデータを提供します。