海域ベントス
どのような生物
ベントス(底生生物)とは岩などの基質の表面や川底や海底など、水底に生息する生物の総称です。広義には海藻・海草類もベントスに含まれます。また、プランクトベントスやネクトベントスと呼ばれる生物群なども存在し、多種多様な生物群を含みます。ここでは一般的な環境調査項目で扱われるベントスとして、砂泥底などの“柔らかい”海底に生息する動物を指します。
ベントスは潮間帯から深海に至るまで、あらゆる海域に生息しており、魚類等高次の動物の餌料、ゴカイ類や二枚貝類等による水底質の浄化など、わたしたちの生活とも関わりがあります。移動力が乏しく底質環境をよく反映することから、指標生物として用いられることもあります。
ベントスはその大きさにより、表のように区分されます。採泥器を用いた海底泥の採取、ソリネットなどを用いた海底の曳網、潜水士によるコア採泥など、対象とする生物により採集方法が異なります。
採取した試料から生物を抽出したのち、顕微鏡下で種の同定を行い、個体数の計数、湿重量の計量を行います。これらデータから、多様度指数を算出したり、指標生物の出現状況を確認することで当該海域の環境やその変化を推測することが可能です。
名称 | 大きさ※ | 例 |
---|---|---|
メガベントス | 4mm以上 | 魚類、エビ、カニ類、貝類、ウニ・ヒトデ類 |
マクロベントス | 1~4mm | 多毛類、小型貝類、ヨコエビ類 |
メイオベントス | 0.031~1mm | 線虫類、有孔虫類、ソコミジンコ類 |
ナノベントス | 0.002~0.031mm | 繊毛虫類、鞭毛虫類、菌類 |
ピコベントス | 0.002mm以下 | バクテリア類 |
※ベントスを選別するフルイの目合いの大きさ(岩波生物学辞典より)