株式会社日本海洋生物研究所

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魚卵・稚仔魚

どのような生物

 一部の魚類の産卵場や稚仔魚の育成場所は、沿岸の浅場に存在することが知られています。また、魚類は漁業や遊漁、ダイビングなどの観光における重要な資源であり、わたしたちの生活と密接に関わっています。このような魚類の卵や稚仔魚がいつ、どこで、どれくらい発生するかを把握することは、資源管理上きわめて重要です。

 魚卵は周囲の水より比重の重い沈性卵、小さい浮性卵に大別され、さらに沈性卵は不付着卵、付着卵などに、浮性卵は凝集浮性卵、分離浮性卵などに分けることができます。一般的な調査では海面付近を漂う浮性卵や仔稚魚を対象とし、主に丸稚ネットを用いて採取しますが、中・深層を対象とすることやノルパックネットやMTDネットなどを用いることもあります。

 得られた試料は、顕微鏡下で卵と仔稚魚を抽出し、それぞれ種の同定を行います。魚卵では、形状や卵膜構造、卵径、油球径等から種の同定を行いますが、特徴が少ないことから「不明卵」とされることも多いため、ふ化実験やDNAによる分析を行うことで、種の同定を行うこともあります。稚仔魚では、ふ化後から稚魚期までを対象とします。ウナギ目やチョウチョウウオ科のように発育段階によって形態が劇的に変化し、親からは想像できない見た目をしている種も多く存在することから、発育段階ごとの特徴を把握する必要があります。主に色素胞の有無や分布位置、筋節数、各鰭の条数をもとに種の同定を行います。